【目からウロコ!】七田式教育の代表 七田厚が語る幼児教育「その時、父は…」第8回 七田 厚

自主性や企画力を育てる

私が生まれ育った町は、公共交通機関が頻繁に行き来していない、車社会の町なのですが、わが家には車がありませんでした。ですから、子供のころ、マイカーに乗って家族でどこかに行くということがなかったのです。

 

必然的に、家族そろってお休みの日には、近場で過ごすことが多かったのですが、たまには、バスや汽車・電車を乗り継いで遊園地に行ったり、知人の車に乗せてもらい、二家族合同で行楽地に行ったりもしました。

 

父(七田眞:七田式教育創始者*)は、普段、時間があれば本を読み、遊びに出ることがほとんどなかった人なので、家族旅行は、子供たちの行きたい所に連れて行ってやろうと考えたようです。

それで、父はどうしたでしょう?

家族会議で旅先を決定!

三人の子供たちに意見を出させ、行き先が決まったら、どうやってそこまで行ったらよいかを考えさせるため、毎月1回、家族会議を開いたのです。

 

小学4年生ぐらいだった私がいちばん上で、3つ下に妹、5つ下に弟で、毎月、順番に議長を務めました。

 

この時、両親はその場にいるのですが、基本的には口をはさまず、子供たちの考えで進めていきます。議長が指名し、それぞれがしたいこと(家族旅行など)を発表していきます。

 

その月の「お手伝い」と「勉強」の目標も立てるのですが、できそうもないことを言ったときには、両親がアドバイスしました。

 

そして、目標が達成できると、ほめられ、ごほうびに好きなものを食べに連れて行ってもらいました。自分ができていなくても、きょうだいが目標を達成すると、その恩恵にあずかることができ、「○○ちゃんのおかげだね。」と言い合ったものでした。

自分でものを考える習慣を身に付けさせたい

父は、この家族会議について、「子供に、自主性あるいは企画力、自分たちでものを考えること、そういう習慣を身に付けさせてやりたいと思ったから提案したんだ。」と言っていました。

 

実際にその数年後、私は中学校の生徒会議長を務め、高校の時には寮の自治委員長、大学のサークルでも部長を務めましたが、小学生の時に家族会議を経験していてよかったと思っています。

 

また、この家族会議をきっかけに、計画的に物事を進めることを知った私は、中学生の時、普段、勉強をするのに、あらかじめ綿密な計画を立てていました。

 

作り上げた計画は理想的なものではありましたが現実的ではなく、計画どおりに行かないことが多くて、しょっちゅう作り直していましたが…。その様子を見て、母に、「また、計画を立ててる。そろそろ勉強したら?」と言われたこともありました(笑)。

 

うちの子の話ですが、中1の一学期、テスト前に自分から問題集を買いたいと言い、自主的に問題をやったのはよかったのですが、やりっ放しで、答え合わせをしていませんでした。答え合わせをして、わからなかったところができるようにしておかないと、何も新たに身につかないのに…。

 

高学年になったら、勉強の仕方や計画の立て方を、一度、見てあげるとよいと思います。

*

七田眞:七田式教育創始者
現在では、世界14か国に広がる「七田式教育」創始者。著書は200冊を超える。