【目からウロコ!】七田式教育の代表 七田厚が語る幼児教育「その時、父は…」第9回 七田 厚
子供との関わり方
私は、一人遊びが得意な方でした。
生まれた時には兄がいて、二男として生まれたのですが、私が1歳の時、兄が病気で他界してしまったため、妹が生まれるまでの2年間、私は一人っ子だったのです。
妹が生まれてからも、しばらく一人遊びの時期が続いたわけですが、私が特に気に入って遊んでいたのは、「Bブロック」というプラスチックのブロックで、たぶん赤・青・黄・緑・白の5色のシンプルなものでした。
私はそれらを組み合わせて色んなものを作って遊んでいたのですが、完成しても、しばらくすると、全部元に戻して、また、一から作り始め、1時間でも2時間でも熱中して遊んでいたそうです。
それを見て、父はどうしたでしょう?
そんなに好きなら……
そんな私を見て、父(七田眞:七田式教育創始者*)は、ある日、ブロックを買い足してくれたのです。
それまでも、結構な量のブロックがあったのですが、さらに倍!という感じになって、大きな段ボール箱2箱分はあったような気がします。
とにかく、ブロックを組み立てて塀を作り、中に隠れることができるほどの量を用意してくれました!
父は何かが完成する度、そばに来て、「すごいのができたなぁ♪」などと声をかけてくれました。もし、時代が今なら、携帯のカメラで、パチッと記念写真を撮ってくれていたことでしょう。
私がそうやってブロックで遊んでいる時、父は家の中で仕事をしていたので、一緒に何かを作るということはありませんでしたが、「子供が今、何に興味を持っているのか」ということには、大きな関心を寄せていました。
考えてみると、今、私が教材を作ったり、絵本を作ったりしている背景には、この幼児期のブロック遊びがあり、ほめられた経験があるように思います。
興味を伸ばす!得意を伸ばす!
すべての子供が、同じことに、同じように興味を持つということはありませんが、子供一人ひとりについて、「何に興味があるか、また、何が得意か」ということを知って、それを伸ばす環境を作ってあげると、すべての子供の才能は伸びていきます。
知らないことに興味を持つことはありませんから、いろいろと手を変え、品を変え、「これ、やってみる?」と、子供の興味を誘う働きかけをするとよいのです。
父は私に、トランプの遊び方もよく教えてくれました。一人遊びのやり方も教えてくれましたが、トランプは父もよく一緒になって楽しみました。
詰め将棋の本を買ってきて、将棋も手ほどきを受けたのですが、残念ながら、私の場合、将棋はものになりませんでした。
ある時は、ローマ字で書かれた「ガリバー旅行記」の本を読もうと誘われ、毎日、見開き2ページぐらいを私がたどたどしく読むのを、隣に座って、辛抱強く聞いてくれました。
どれももう40年以上も前の話ですが、父と私が時間を共有したことは、そのように、今でも鮮明に思い出します。
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七田眞:七田式教育創始者
現在では、世界14か国に広がる「七田式教育」創始者。著書は200冊を超える。