【目からウロコ!】七田式教育の代表 七田厚が語る幼児教育「その時、父は…」第11回 七田 厚

夏休みの研究の思い出

夏休みになると、「今年は何にしよう?」と親子で悩むのが、一人一研究の宿題ですよね。

私が小5の時には、6人ぐらいで「交通量調べ」の共同研究をしたことを覚えています。

朝8時から夜8時まで、2人ずつ組んで交代しながら、国道を通る車の数を種類ごとにカウントして、表にしたり、気づいたことをまとめたりしました。

 

夏休みの研究は中学生になっても続いたのですが、その3年間、父(七田眞:七田式教育創始者*)はしっかり私に付き合ってくれたのです。それは私にとって、父との最大の思い出かもしれません。

 

まず、何についての研究をするのかを決めなくてはいけませんが、毎年、テーマは、父が提案してくれました。

中1の時、父のした提案とは…?

結核で余命宣告されたけれど、それを克服した父

それは、食べられる野草の研究をしてみないか、という提案でした。

「そう言われても…」というのが、私の率直な反応だったと思います。12歳の私には、それをどうやって研究すればいいのか、皆目見当がつきませんでした。

 

父は、20代半ばで結核を患い、余命宣告を受けていたのですが、それならば!と、その日からふとんを抜け出し、山を歩いて体を鍛え、山野草を採って来ては青汁にして飲み、ついには、健康を取り戻した人なのです。

今でこそ、青汁と言えば健康飲料の代名詞みたいになっていますが、父が結核にかかったのは、戦後間もないころのことですから…。

父は、病床で健康に関する本をいろいろ読んでいたのです。その中に、野草の持つパワーについて書かれた本があったのでしょう。

それで、その時の経験を活かし、自分と一緒に、改めて研究をしてみないかということだったのです。

「みかん、きんかん、夏みかん…」で大笑い!

参考にした本が1、2冊あったと思います。そして、そこに書かれていた「タンポポの根のコーヒー」とか、「ユキノシタの葉のてんぷら」とかを作ってみようというわけです。

 

何しろ、わが家には車がありませんでしたから、そこらへんを歩いて、タンポポを探し、ユキノシタを見つけないことには研究が進みません。が、田舎町なので、それほど遠出をしなくても見つけることができました。

 

本に書いてあるとおりに、タンポポコーヒーを作って飲み、ユキノシタのてんぷらを食べ、最終的には、採取してきた野草を押し花みたいにしてノートに貼り付け、模造紙に研究結果をまとめて提出したのですが、この研究は、体育館で全校生徒の前で発表したことを覚えています。

 

そして、研究発表の最中、「みかん、きんかん、夏みかん…」と読み上げたところで、みんながドッと笑ったので、恥ずかしかったことを覚えています。

今は、どうやったら笑ってもらえるかを考えているというのに、ずいぶん若かったものです(笑)。

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七田眞:七田式教育創始者
現在では、世界14か国に広がる「七田式教育」創始者。著書は200冊を超える。