スポーツ選手の行う”イメトレ”を幼児期に⁉ 普段の「ごっこあそび」をレベルアップして学びの基礎を育てましょう!
こんにちは!しちだ・教育研究所です。
皆さんは、普段、お子さまとどのような遊びをされていますか?
ごっこあそびやおままごと、絵本の読み聞かせなどが多いのではないでしょうか?
実はこれらの遊びすべて、お子さまの想像力を伸ばす「イメージトレーニング」へとつなげることができるんです!
イメージトレーニングというと、スポーツ選手がしている印象だったり、目を閉じて落ち着いてするものだから、小さいうちは無理なのでは? と、思われたことはありませんか?
少し特別なトレーニングのように聞こえますよね?
でも、イメージはいろいろなものを頭の中で思い浮かべることなので、小さいお子さまにとっては、なにも特別なことではないんです!
一体どういうことなのか・・・?
まずは、子供にとってのイメージについて、お話ししていきましょう。
≪目次≫
1.子供にとってイメージの世界は特別なことではないんです!
2.低年齢の子供のイメージトレーニングって?
3.家庭で取り組むにはどうしたらいいの?
4.他にもこんな遊びを取り入れて!
5.普段の遊びをレベルアップするには?
1.子供にとってイメージの世界は特別なことではないんです!
私たちは言葉を知っているので、「トマト」と聞くと、トマトの色、形、味、香り、食感などをすぐに連想することができますよね。
反対に、トマトの絵や写真、実物を見たときには、「トマト」と、その物の名前で認識していると思います。
もっと言えば、「赤」「丸い」「みずみずしい」「つるつる」など、それぞれのイメージも言語化されているかもしれませんね。
それは、頭の中で自動的に言語とイメージがつながっているからです。
成長するにつれて言葉を覚えると、だんだんとそういった考え方になります。
しかし、特に0~1歳の、まだ言葉や物の名前を知らないうちは、
目に入った物を、見たまま記憶したり、思い出したりしています。
言葉に変換されることなく、イメージのまま記憶していくのです。
ですから、お子さまの頭の中は、物のイメージで溢れていることになります。
最初のうちは映像ばかりだったものが、そのうちにだんだんと言葉を覚えて、物と名前が一致するようになります。
こう考えると、小さいお子さまがイメージの世界にいるということが、少しお分かりいただけるのではないでしょうか?
2.低年齢の子供のイメージトレーニングって?
では、小さい頃のイメージトレーニングは、実際にはどのように取り組んでいくのでしょうか?
0~3歳の時期の成長は目覚ましく、またお子さまによって成長のスピードも違います。
お子さまがどの段階にいるのか、お子さまの「できること」で判断してあげましょう!
〈0~1歳児〉
この時期のイメージトレーニングは、おうちの方が行います。
おうちの方と赤ちゃんは心でつながっています。
そのため、おうちの方がイメージをすることで、赤ちゃんも同じイメージを描くことができます。
たとえば、この時期のイメージトレーニングのテーマとして、
・赤ちゃんとお買い物に出かけている様子
・赤ちゃんと公園にお散歩に行っている様子
・きれいな景色を見ている様子
など、身近な出来事で、おうちの方のイメージしやすい題材を選んでみましょう。
また、1歳を過ぎて離乳食が始まったり、食べ物に興味が出てきたりする頃には、おもちゃの食べ物を使った、食べるまねっこ遊びを取り入れてみましょう。
〈2歳児〉
この時期のイメージトレーニングは、まねっこ遊びがメインです。
まねすることは、全ての学びの基礎になります。
まねっこ遊びをしながら、お子さまの持つイメージ力を高めつつ、学びの基礎を育てていきましょう。
たとえば、この時期のイメージトレーニングのテーマとして、
・食べ物のおもちゃを使って、食べるまねっこのイメージ
・動物の写真を見ながら、動物の動きや鳴き声のまねっこのイメージ
・顔を洗う、歯を磨くなど、日常生活のまねっこのイメージ
など、お子さまにとって身近で、楽しいイメージをテーマにしてみましょう。
この頃のイメージというのは、よく言われる目を閉じて思い浮かべるイメージトレーニングではなく、 物を使ったり、体を動かしたりして、その世界に入り込むような方法です。
お子さまが楽しく取り組めるように、おうちの方も、イメージの世界に入り込んで、一緒に楽しみましょう。
〈3歳児〉
この年代のイメージトレーニングは、目を閉じて、頭に思い浮かべるタイプのイメージをします。
テーマは、お子さまの好きなものに合わせて、自由に決めましょう。
たとえば、この時期のイメージトレーニングのテーマとして、
・動物と一緒に遊ぶイメージ
・電車に乗ってお出かけするイメージ
・料理をするイメージ
など、お子さまが興味を持っていることや、テレビや絵本で見たことなど、何でも自由にイメージトレーニングをして、イメージの幅を広げましょう。
3.家庭で取り組むにはどうしたらいいの?
実際に、お家でどのように言葉がけをしたらいいのか、一例をご紹介します。
例:パンを食べるイメージ
準備するもの:おままごとセットなどのおもちゃのパン、お皿など
「今日は、パンを食べるイメージをしようね。
おいしそうなパンを買って来たよ。
丸いパンに、四角いパン、三角のパンもあるね。
〇〇ちゃんはどのパンを食べたいかな?
じゃあ、こっちの丸いパンをあげるね。はい、どうぞ!
ごあいさつして食べようね。いただきます。
まだ少しあたたかいね。
茶色い焼き目がおいしそうだよ。
いいにおいがするよ。クンクン。〇〇ちゃんもにおってみて!
一口食べてみようか。あーん、モグモグモグ・・・
どんな味がする?ふわふわでおいしいね。
ちょっと甘い感じがするかな?
お母さん(お父さん)は、三角のサンドイッチを食べようかな。
こっちは、野菜がシャキシャキしていて、おいしいよ。
こっちのパンの味はどうかな?
・・・・・・
いっぱい食べておなかいっぱいになったね。
ぜーんぶ美味しかったね!
ごちそうさまでした!」
いかがですか?
普段のおままごとの時の会話と、あまり変わらないのではないでしょうか?
普段の遊びをイメージトレーニングに近づけるには、五感(視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚)に働きかける言葉を入れることです。
特に、0~3歳の言葉を育てたい時期には、色、形、ものの名前、ものの様子を表す言葉などを、たくさん教えてあげましょう。
ここでは、色、形の他に、「ふわふわ、シャキシャキ、あたたかい、甘い」などです。
たったそれだけで、普段の遊びがイメージトレーニングになるんですよ。
4.他にもこんな遊びを取り入れて!
「イメージトレーニングだから、この型にはめてやらなくてはいけない」ということはありません。
いろいろなイメージトレーニングをご紹介しますので、お子さまの成長段階に合わせて、取り組んでみてください!
STEP1 ごっこ遊び
「形態模写」といわれる、何かになりきって、動きをまねするごっこ遊びです。
まずは、童謡をかけながら始めてみましょう。
ちょうちょうやぞうになるイメージなどがおすすめです。
両手を羽にしたり、腕でぞうの鼻を作ったりして、生き物のまねをします。
動きだけだと、単なる運動になってしまいますので、そこで、五感を刺激する言葉がけをするのがポイントです!
五感とは、視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚の5つの感覚のことです。
でも、これをいつも覚えておくのは、ちょっと難しいかもしれません。
そこで、目・耳・鼻・口・感覚で覚えてみてください。
それぞれの場所で感じることを、言葉がけに入れてあげればいいんです!
ちょうちょうになるイメージであれば、
目(視覚)・・・飛んでいる時に、何が見える?
耳(聴覚)・・・耳を澄ましたら、どんな音が聞こえてくる?
鼻(嗅覚)・・・お花畑はどんなにおいがする?
口(味覚)・・・花の蜜はどんな味?他の花の蜜の味はちがうのかな?
感覚(触覚)・・・飛んでいるときの風の感じは?
のように、それぞれの場所で、どんなことを感じるのか、順番に声かけをしてあげましょう。
もちろん、どれかが無理な状況のときは省いてもOKです。
最初のうちは、この5つを意識してみてください。
いい言葉がけをするためのお手本は、ズバリ、
実況上手なアナウンサーです!
自分がそこにいなくても、今、どんな状況なのかを正確に説明してくれるアナウンサーの実況を聞くと、ラジオで聞いていても、頭の中でその場が再現できますよね!
そんな風に、実況中継をしているアナウンサーのように、五感を働かせてイメージトレーニングをすると完璧です!
2~3歳くらいのお子さんだと、もっと幅が広がるので、一緒にやっている大人も楽しくなってきますよ!
ぜひ、家族で一緒に、いろんなテーマで取り組んでみてください。
STEP2 ジェスチャー遊び
もっと簡単に遊びたい方は、ジェスチャー遊びがおすすめです。
テーマを決めて、動きだけで何をしているかを当てるジェスチャーゲームですが、動きだけだと、当てられるものの幅が狭まってしまって、お子さまが低年齢であれば、あまり楽しめないかもしれません。
そういうときは、音もOKにしてしまいましょう。
どの程度OKにするのかは、お子さまに合わせて、効果音だけにするのか、鳴き声だけにするのか、ルールを決めましょう。
たとえば、スポーツをテーマにしたとき、「何のスポーツをしているでしょう?」と言って、スキーのジェスチャーをしているとします。
そのとき、まだ動きだけでは分かりそうにないときは、「シャー、シャー」と効果音を付けてみましょう。
食べ物を当てるときも、熱いもののときは「フー、フー」と言ってみたり、麺類のときは「ズー」っと音を立ててみる。
ここでも、五感に働きかけるような言葉がけをプラスして、頭の中で思い浮かべたり、動きを想像したりすれば、これも立派なイメージトレーニングの遊びになります。
ただ、この遊びをするには、ある程度のことを知っていることが前提になりますよね。
まだそこまでの遊びが難しいときには、絵本や図鑑などを使ってみましょう。
「このページの中で、どれをまねしているでしょう?」
と、遊んでみるのもいいですね。
「イルカってどうやって動くかな?」
「ごはんはどうやって食べているかな?」
「くるまはどうやって走っているかな?」
など、お子さまと一緒になって、動物、食べ物、乗り物、情景の表現を考えてみましょう。
独創的な表現を発見することができますよ。
おうちの方の表現が分かるようになってきたら、今度はお子さまがジェスチャーをする番です。
最初は、思いのまま自分で表現する機会をつくりましょう。
ジェスチャーゲームをすることで、言葉なしで表現するにはどんな動きをしたらいいかと、身の周りの物事への意識が高まります。
想像力と同時に観察力も高まる、おすすめの遊びですよ!
STEP3 おままごと遊び
おままごとは、いちばん簡単にイメージトレーニングができる遊びです!
いつもご家庭でされているようなお料理ごっこや、お買い物ごっこ、お医者さんごっこなど、普段遊んでいることに加え、少しポイントを意識すれば、十分イメージトレーニングになります。
おままごとと言えば、キッチングッズや、食べ物の模型を使ったり、その他の時にもレジセットや、お医者さんセットなどのおもちゃを使うことが多いと思います。
おもちゃが本物とちがうのは、音、におい、温度、感触などですよね。
ですから、そこを本物に近づけてあげればいいんです!
ごっこ遊びのときにもお伝えしたように、五感に働きかけることがポイントです。
目(視覚)・・・色や形、大きさ、量など
耳(聴覚)・・・切るとき、調理のとき、食べるときの音など
鼻(嗅覚)・・・材料のにおい、料理のときのにおい、出来上がった料理においなど
口(味覚)・・・素材の味、調味料の味、出来上がった料理の味など
感覚(触覚)・・・触った感じ、温度、感じたことなど
少し挙げるだけでも、たくさんの情報がありますよね。
このような内容を、おままごとの中で言葉がけしてあげてください。
「なるべく具体的に、本物であるかのように」が大切です!
5.普段の遊びをレベルアップするには?
ここまでは、普通の遊びに言葉がけをプラスすることで、イメージトレーニングに近づける遊びを提案してきました。
3歳になる頃には、おままごとの内容や、ごっこ遊びの内容を
目を閉じて、頭の中で思い浮かべられるようになるのが理想です。
ただ、急に移行するのは難しい場合がありますので、その前の段階として、パントマイムを取り入れましょう。
今まで、おもちゃを使っていたところを、少しずつ減らしていって、言葉がけだけで遊びます。
おもちゃを使わずに、
「トントン、にんじんを切っているよ。」
「ジュージュー、お肉を焼いています。」
「モグモグ、とっても美味しいカレーができたね。」
など、擬音語や擬態語をたくさん使って、おもちゃを使わなくても、イメージできるようにしましょう!
このステップを踏むと、目を閉じてのイメージトレーニングも
スムーズに出来るようになりますよ。
いかがでしたか?
少しイメージトレーニングへの印象が変わったでしょうか?
おうちでの遊びの中で、お子さまの好きなことや、その時に興味を持ったものと、イメージトレーニングを合体させれば、イメージの力を育てることができます。
七田式におけるイメージトレーニングの最終的な目標は、イメージの力を使って、なりたい自分になることです。
特にスポーツ選手が、自分の成功する姿をイメージしてから本番に挑むのは、最近よく知られていますよね。
そうしたイメージトレーニングの基礎は、幼少期の遊びの中で育っていきます。
そして、イメージの力はお子さまの人生の様々なところで役立っていきます。
お子さまの0~3歳の時期は、自然にイメージを楽しめます。
「こうしなければいけない」ということはありません。
お子さまの好きなことに合わせて、おうちの方も、ぜひ一緒に楽しんでくださいね!