【目からウロコ!】七田式教育の代表 七田厚が語る幼児教育「その時、父は…」第15回 七田 厚

やる気を失った8歳の私

父(七田眞:七田式教育創始者*)は、『生きて来た道』(七田眞著)という半生記を、名刺ぐらいの大きさの豆本で、14集にわたって書き残しました。

 

そこには、子育てに関することも書いてあるのですが、その第11集『発奮の巻』から、興味深い箇所を取り出してみました。

 

-厚は、八歳になった。小学校の二年生であったが、妻が心配そうに、

「厚がこの頃、あまり勉強しようとしないのよ。勉強するように言って」

と私に言った。

「それは、最近小言が多くなっているからだよ」

と私は言った。厚は、妻の小言がこの頃多いために、やる気を失っていたのだった。

 

 

さて、この後、父はどうしたでしょう?

 

 

 

そばにいてくれるだけでいい

そこで、学校から帰って来た厚を誘うと、私が原稿を書いている横で、厚は独りで静かに勉強した。翌日も、学校から帰って、静かに私のそばで勉強をした。それが習慣になった。

 

なるほどな、というのが、今の私の感想です。

 

親となってからの私にも、思い当たるフシがあります。

娘が、やはり八歳のころ、大きなテーブルで書類を広げて仕事をしている私のそばに来て、

「作文を書く宿題が出たんだけど、どうやって書いたらいいかわからない」

と言うのです。

 

私はしばし、自分の仕事の手を止めて、

「何のことについての作文を書くの?」

「それは、何人くらいでやったの?」

「どんなものを作ったの?」

「楽しかった?」

・・・と、どんな様子か、私自身がイメージできるように、次々と質問をしました。

 

すると、しばらくして彼女は、黙々と作文を書き始めました。ずいぶん集中しているなあと思っていたら、ノートに2ページ書けばよいところを、10ページも書いていたのです。

 

 

親子のコミュニケーションは、量より質

ほんのちょっと、子供の気持ちに寄り添い、きっかけを作ってやれたらOKなのです。親だからと言って、何も四六時中、自分の時間を子供のために捧げる必要はありません。

 

自分の用事をしながら、ただそばにいて、そして、子供が親を必要とするときに応えてやればいいのです。小学生ともなると、子供は、必要な時に親がいてくれさえすれば、安心して力を発揮することができます。

 

親子のコミュニケーションは、量より質です! 私自身も、私の三人の子供たちも、早くから保育園に預けられ、親と十分な時間を過ごしてはいません。日常的に愛情の不足する部分は、おばあちゃんが補ってくれていたのでしょう。

 

物理的にそばにいることができないときは、電話でも置き手紙でも構いません。たとえ一日一言であっても、愛情の通った親子の会話を欠かさないようにして、しっかりと親子の絆を結んでいただきたいと思います。

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七田眞:七田式教育創始者
現在では、世界14か国に広がる「七田式教育」創始者。著書は200冊を超える。