【目からウロコ!】七田式教育の代表 七田厚が語る幼児教育「その時、父は…」第20回 七田 厚
父との約束
子供の頃、私は、一度も父(七田眞:七田式教育創始者*)にしかられた記憶がありません。
当時、わが家には、「わがまま・いじわる・うそ・はんこう」と書かれた紙が貼ってあり、「このどれかに当てはまるときにはしかるよ。」と言われていたので、それを守っていたのです。
しかし、子供の時と、成人してからでは、状況が違います。
大学時代、私は東京に住み、仕送りをしてもらいながら、アルバイトもしていて、金銭的には、結構、余裕がありました。
そのころ、「クレジットカード」を作ると、10万円するオーディオセットが月々約3千円の36回払いで手に入ると聞き、分割払いで購入したのをきっかけに、いろんなものをクレジットで買っていたのですが、ある時、私の部屋に泊まりに来た父が、高価なものが増えていることに気づきました!
その時、父は何と言ったでしょう?
ローン地獄の一歩手前で…
「一体、全部でいくら、ローンで買い物をしたのか、一つ残らず書類を持って来て、お父さんに見せなさい!」と言われました。
いつもにこにこ、穏やかな父が、初めて私を叱った瞬間でした。
と言っても、父は声を荒げてはいなかったのですが、普段、怒らない人に怒られると、効きますね!
私は血相を変え、すぐに書類をかき集めて、父に渡しました。
総額を把握した父は、「今回に限って、ローンの残金は、お父さんが全部肩代わりするから、その代わり、約束しなさい。今後一切、ローンで買い物をしてはいけないよ。わかった?」
そして、「欲しいものがあるときは、これからは、お金が貯まってから買うようにしなさい。」と言ったのです。
もちろん私は、そのありがたい申し出を受け入れ、それ以後、現在に至るまで、クレジットカードで買い物をする時は、必ず一括払いにしています。(自宅だけは例外ということにして、ローンを組みましたが…)
子供が成人してからも必要な金銭教育
しかられた張本人の私が言うのもなんですが、子供が成人しても、親の仕事は終わりではありません。金銭教育のように、子供時代には十分教えることができず、大人になってから教え諭さなければいけないこともあります。
実は、その当時、収入以上にローンで買い物をして、その返済金が足りないために、それをサラ金で借りて払うという、危ない橋を渡っている人が身近にいたのですが、私は、その一歩手前で父に救ってもらったと思って感謝しています。
そしてそれは、泥沼にはまる前に、父が私の身辺の変化に気づいてくれたからこそなのですが、まさに、「子育て四訓」でいうところの『青年(期)は目を離して心を離すな』ですね!
成人して別々に暮らし始めれば、逐一チェックすることはなくても、心は離さず、時にはどんなふうに過ごしているか、様子を見に行くことが大事だと思います。
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七田眞:七田式教育創始者
現在では、世界14か国に広がる「七田式教育」創始者。著書は200冊を超える。