3歳までにどんな力を身につける? 今日から実践! 遊びながら身につくおすすめの「教え方」をご紹介!

こんにちは! しちだ・教育研究所です。

皆さんは、幼児教育についてどのようなイメージをお持ちでしょうか?
最近では小さい頃からプリント学習をしたり、英語教室に通わせたりする方も増えてきて、「幼児教育=詰め込み教育」というイメージはなくなりつつあるかもしれませんね。
後に教えることが楽になるように、お子さまの素質を高める教育が、この時期の教育だと考えています。

では、具体的にどのようなことを教えていけばいいのでしょうか?
今回は、0歳から3歳までのお子さま向けに、おうちでの取り組みをご提案いたします。

≪目次≫
1.幼児の思考の源となる「10の基礎概念」とは?
2.お子さまに「教える」ときのおすすめステップ!
3.普通の塗り絵ではもったいない!「色」の理解が深まる工夫とは?
4.「形」の理解で、お絵描きがもっと楽しくなる!
5.「大小」の理解は概念として捉えましょう!
6.「量」の概念は、物と水での理解が大切!
7.基礎概念を学んで、親子のコミュニケーションを円滑に!

10の基礎概念

1.幼児の思考の源となる「10の基礎概念」とは?

幼児期のうちに身につけておくべき10の基礎概念をご存知でしょうか?

10の基礎概念とは、「色」「形」「大小」「数」「量」「空間認識」「比較」「順序」「時」「お金」のことです。
まずは、これらの10項目を就学前に身につけることが大切です。
10項目は、どれも基本的な会話に必要な語彙の獲得へとつながります。
これらの概念を身につけると、表現できることが格段に増えるのです。

例えば、「りんご」だけでなく、「大きい赤いりんごが三つ」と言うと、より相手に伝わりやすくなりますよね。
「青い方がいい」「たくさん食べたい」「上に置いて」「あと3回」「右に行こう」など、少し挙げてみても、日常会話の中には、これらの基礎概念がたくさん含まれています。

そのため、子供たちに一つひとつの概念を教えて、身につけさせることで、自分の気持ちが伝えやすくなります。
さらに、大人からの話もよく理解できるようになるので、コミュニケーションがよりスムーズにできるようになります。

「10の基礎概念」のうち、0から3歳の時に特に教えてあげたいのは、「色」「形」「大小」「量」の4つです。

今回は、この4つの概念についてご紹介していきます。

 

 

2.お子さまに「教える」ときのおすすめステップ!

0から3歳のうちは、まだまだ知らないことがいっぱい。
そのため、基本的には「教える」ことが中心になります。
では、まだ幼いお子さまには、どのように教えてあげると良いのでしょうか?

まずは、フラッシュカードでインプットしてあげましょう。
これは、低年齢の時期ならではの方法でもあります。
幼児期のうちは、大人が驚くほどの吸収力を持っているため、フラッシュカードでのインプットは非常に効果的です。
普通の言葉(名詞)と同じように、たくさんの色や、様々な形のカードを見せてあげましょう。

さらにレベルアップを目指すのであれば、身近なものを使って一つひとつ教えます。
色紙やつみき、形パズルなど、よく使うおもちゃなどで大丈夫です。

教えるときの大まかな順番は、

①フラッシュカードを使ってインプットする
②実物を使って1つずつ教える
③同じものをマッチングさせる
④2択から始めて、選択で選ばせる
⑤鉛筆が持てるようになったら、プリントで押さえをする

という順番です。

この順番を飛ばして教えてしまうと、身につくのに時間がかかったり、難しくて嫌になったりしてしまいます。
理解することを求めすぎないようにしましょうね。

では、「色」「形」「大小」「量」それぞれの内容では、実際にどんなことをしたらよいのか、具体的にご紹介します。

 

 

塗り絵

3.普通の塗り絵ではもったいない!「色」の理解が深まる工夫とは?

色を教えるときは、最初はあまりたくさんの色を用意せず、赤・青・黄色の基本の色から始めましょう。
虹の7色(赤・橙・黄・緑・青・藍・紫)→12色→24色と少しずつ増やしていくのがポイントです。
クレヨンや色鉛筆のセット、折り紙のセットなどを参考にすると、色の増え方がわかりやすいと思います。

それぞれ色の名前を覚えるのはもちろんですが、色と色が混ざり合って新しい色ができることや、赤にもいろんな色味があることを知ると、色彩に対するセンスも磨くことができます。

STEP1 色を教えましょう
色あそび

まずは赤・青・黄の基本の色から教えます。
つみきや色紙など、身近にあるものの中で、なるべくはっきりとした色味のものを選んでください。

「赤色」「青色」「黄色」と言いながら見せて、色の名前を教えてあげましょう。

次に、トマト、いちご、消防車、チューリップなど、同じ色の仲間を探したり、赤いBOXの中に赤いおもちゃを入れさせるなどの遊びをしましょう。
これは同じものを対応させる段階です。
「同じだね」と声をかけて、色の仲間を作ります。

青いミニカーに青い服の人形を乗せてあげたり、黄色のお皿にバナナのミニチュアを置いたり、おうちにあるいろいろなものを使って、同じ色同士をマッチングさせましょう。

赤・青・黄色以外の色も同じように遊びます。
色を覚えられたか確かめたいときは、「赤色はどっち?」と聞いてお子さまに取らせるようにしましょう。
「これは何色?」と聞いてしまうのは、まだハードルが高いので、赤と青の2つの選択肢を用意して確かめます。

最初のうちは、間違ってもOKです。
繰り返し遊んで、少しずつ理解を深めていきましょう。
そのうち、選択肢を増やしたり、選択肢がなくてもわかるようになります。

日々の生活の中でも、お子さまに話しかけるときに、「今日は緑の服だよ」「ピンクのお花がかわいいね」など、色を意識した言葉がけをしてあげると、より効果的です。

STEP2 色を使って遊びましょう
色の学び

クレヨンや色鉛筆のセットに入っているような色を大体覚えたら、今度は、色を使って遊んだり、色を混ぜて作ったりする遊びをしてみましょう。

お絵描きや塗り絵をするときには、初めから50色セットなど、あまりにたくさんの色を与えずに、最初は3~5色くらいから始めて、少しずつ色を増やしていきましょう。

絵の具や色付きの粘土などを使って、色作りをするのもいいですね。
「赤と黄を混ぜたら何色になると思う?」
「青と白を混ぜたら何色になると思う?」
と、想像させながら遊びます。
少しずつ混ぜて色が分かっていく過程を楽しんだり、お子さまが興味を持ってくれるような工夫をしてみてください。

STEP3 色彩センスを育てましょう

始めにも触れたように、色彩に対するセンスを育てることが大切です。
センスというのは、教えてなかなか身につくものではありません。
濁色や明暗の違いがある色など、複雑な色合いを使った絵を見せることで、育てていくことができます。

小さいうちは、美術館などに行って鑑賞するのは難しいので、カタログや図鑑の絵、名画カードを見せたり、様々なタッチの絵本を見せてあげたりするとよいでしょう。

文章がまだ難しそうな絵本でも、絵を見るためだけにめくるのでもよいのです。

 

 

4.「形」の理解で、お絵描きがもっと楽しくなる!

続いて「形」の概念についてです。
ものの形をいろいろな方向から見て、どのような要素でできているかを理解する能力を身につけることが、「形」の概念を学ぶ目的です。
形も色と同じで、最初は、〇・△・□の3つの基本の形から教えます。

STEP1 基本の形を教えましょう
ブロックあそび

まずは、〇・△・□の3つから始めます。
イラストや形のカード、形の本などを見せながら、名前を教えてあげましょう。

形を教えたら、色と同じように、〇と〇をマッチングさせる遊びをします。
厚紙に手描きをして作ってもよいですし、おもちゃやブロックを使ってもよいです。
同じ形を合わせて「同じだね」という声かけをすることがポイントです。

基本の形をマスターしたら、☆・♡・♢もプラスしてみましょう。
☆や♡はよく目にする形なので、お子さまにとっても見つけやすいと思います。

3歳になるまでに、丸・三角・四角・長四角・楕円・星形・十字形・五角形・六角形・台形がわかるようになることを目指して取り組んでみましょう。

理解しているかを確かめたいときには、「これは何?」と聞くのではなく、2択で「丸はどっち?」と聞くところから始めましょう。
3択や5択にすることで少しずつ難易度を上げて、できそうであれば、「これは何?」と聞いて確認しましょう。

STEP2 日常生活の中で探してみましょう

普段の生活の中でも、図形を意識させる働きかけをしましょう。
「リビングの時計はまんまるだね。」
「テレビは長四角だね。」
「お部屋の中にある三角形のものを探してみよう」
など、家の中だけでもたくさん見つけることができます。

外に出たときにも、探し始めたら目につくようになると思います。
お子さまの目線に合わせたところで見つけてあげましょう。
一緒に見て、「丸だね」「星だね」と声をかけて、身近なところからいろいろな形を発見していきましょう。

STEP3 形を描いてみましょう
お絵描き

2から3歳になって、鉛筆が持てるようになったら、簡単な図形を描く練習をしてみましょう。
特に、〇・△・□が書けるようになると、プリントをしたり、お絵描きをしたりするのが飛躍的に上手になります。

〇が描ければ、りんごやみかん、ボール、太陽、
△が描ければ、おにぎり、屋根、ケーキ、
□が描ければ、家、バス、絵本・・・

〇・△・□を組み合わせると、簡単な動物や乗り物などを描けるようになります。
たとえ全部を描けなくても、シールを貼ったり、おうちの方が少し描き足してあげるだけで、形を描くことの楽しさが感じられると思います。

最初は補助付きのプリントなどを使うこともおすすめです。
特に、△や□の角の部分は難しいので、初めから上手に描けるものではありません。
お子さまの成長に合わせて、少しずつ練習してみましょう。

 

 

5.「大小」の理解は概念として捉えましょう!

ものの「大小」を認識させるのが、この概念の基本です。
ポイントは、この大小の認識というのが、単純に実際の大きさのことだけではないということです。
例えば、絵本の中では三輪車、車、電車、飛行機、船などの乗り物が出てきても、ほとんど同じ大きさで描かれています。
しかし、実際には全く違う大きさですよね。

このように、大小は概念として捉えることが必要です。
ものの大小の認識は、感覚で視覚的に捉えることから始まり、大きい小さいを判断する、というプロセスで行われます。
ぜひ、小さいうちから教えてあげましょう。

STEP1 2択で大小を教えましょう

まずは、身の回りのものを使って、「大きい」「小さい」を教えます。
例えば大小のボールを使って、「大きいのはどっち?」「小さい方を持ってきて」と意識的に声をかけましょう。
最初は、極端に大きさの違うものから始めるのがポイントです!

お気に入りのぬいぐるみを使ったり、大人と子供の手や足の大きさを比べたり、身近にあるものを使いながら工夫して教えてあげてください。

明らかに大きさが違うもので慣れてきたら、今度は似たような大きさのものにシフトしていきます。
絵本を使って比べさせるのは、実物での大小がわかるようになってからにしましょう。


STEP2
 中くらいを教えましょう
まつぼっくり

2択でわかるようになったら、大中小の3択にして、「中くらい」を教えます。
お子さまにとって「中くらい」は、実はとても難しいものです。
「大きい」「小さい」がわかったからと言って、3択にしていきなり「中くらいなのはどれ?」と聞いてもわかりません。

3つの大きさの人形があったら、
「これが一番大きいね」
「これが一番小さいね」
「これは中くらいだね」
とそれぞれ指を差して教えます。

もののサイズ感は、比べるものが変われば変化します。
2つのボールの大きさを比べて、「こっちが大きい」と判断しても、それよりも大きいボールを持ってきて比較すれば、さっきまで大きいと思っていたボールは、中くらいのボールになります。
このように、もののサイズ感の変化を理解させることも大切です。

大人が思っているよりも、「中くらい」は理解しにくいものです。
わからなくて当たり前と思って、ゆっくり教えてあげましょう。


STEP3
 大小以外の表現を教えましょう

「大小」を教えるときに、「大きい」「小さい」という表現が適切でない場合もありますよね。
身長を比べるとき、最初は「お父さんが大きい」「〇〇くんは小さい」と言って教えることもあると思います。
正しくは、「お父さんは高い」「〇〇くんは低い」という表現ですよね。

ですから、ものによっては「大きい・小さい」ではなく、
「高い・低い」「重い・軽い」「長い・短い」の方が適切です。

徐々にバリエーションを増やし、正しい表現も教えていきましょう。

 

 

6.「量」の概念は、物と水での理解が大切!

最後は、「量」の概念です。
「量」の概念は「多い」「少ない」の理解が基本ですが、「いっぱい」「空っぽ」「半分」も含まれます。
さらに、比較するものにも、実物と液体とがあります。
どちらのパターンも教えてあげましょう。

STEP1 2択で多少を教えましょう
おはじき

実物を使って「多い」「少ない」を教えましょう。
2枚のお皿とおはじきをたくさん用意して、多く入れたお皿と少なく入れたお皿を作ります。
「こっちは多いね」「こっちは少ないね」と言って、それぞれを指差して教えます。

他にも、かごにおもちゃをたくさん入れたものと少なく入れたものを比較したり、おむつがたくさん入った袋と少なくなった袋を見せたり、身の回りにあるものを使ってみてください。

液体は、コップに水を入れて、「多い」「少ない」も教えてあげてください。
お風呂に入っているときに遊んでみるのもよいですね。

確かめるときは、「どっちが多い?」と聞いてみましょう。
すぐにわからなくてもいいので、繰り返し教えてあげましょう。

STEP2 いっぱい・半分・空っぽを教えましょう
コップ

「多い」「少ない」と同じようで少し違うのが、「いっぱい」と「空っぽ」です。
「いっぱい」と「空っぽ」には、二つの場合があります。

一つは、おもちゃをたくさん入れたかごと、入っていないかごの2つを見せて、
「いっぱいだね」
「空っぽだね」という場合です。

もう一つは、元々一つのかごに、
たくさんのおもちゃが入っている「いっぱい」の状態と、
中身を全部出してしまった「空っぽ」の状態の場合です。

おもちゃで遊ぶときなどに、かごをひっくり返して「空っぽになったね」と、言って見せてあげましょう。

半分を教えるときには、コップに入れたお水を3つ使ってみましょう。
たくさん入れたコップ、少しだけ入れたコップ、ちょうど半分入れたコップを比べて、
「多いね」「少ないね」「半分だね」と教えます。

飲み物を入れるときに、「コップの半分くらい入れようね。」など、日頃から声かけをしてあげましょう。

STEP3 「半分こ」を教えましょう

半分こは、お菓子を食べるときなどによくあるシチュエーションだと思います。
何かを同じ数ずつ分けることですね。

何かを分けっこするときに、偶数個と2枚のお皿を用意して、同じ数ずつ分けさせるようにしましょう。
最初は4つくらいの少ない数から始めて、少しずつ個数を増やしていきましょう。

 

 

親子のコミュニケーション

7.基礎概念を学んで、親子のコミュニケーションを円滑に!

「色」「形」「大小」「量」、それぞれの教え方について、おわかりいただけたでしょうか?
どれも日常生活の中で教えられることばかりですね。
こうして教えたことが身についているかどうかは、2歳半から3歳になるとプリントで確認ができます。プリント学習は、知識のおさえとしても有効です。

プリントの取り組みがまだ難しい、低年齢のお子さまは、お手伝いの中でおさえと確かめをしていきましょう。

そろそろ色のチェックをしてみようと思ったら、
「黄色の服を持って来てくれる?」
「緑のコップを取ってくれる?」
「黒い方にしよう」など、
さりげなく聞くことで、わかっているかどうかの確認ができます。

しかし、焦りは禁物です。
特に1歳から2歳児は、吸収するスピードも早いですが、覚えたことを忘れてしまうのも早いものです。
すぐに覚えられなくても、大丈夫です!
繰り返し教えてあげましょう。

10の基礎概念を知ることで、子供は親の言っていることを理解し、自分が何を言われているのか、何をすればいいのかがわかるようになります。
すると、コミュニケーションが円滑になって、親と子、双方にとって、不思議なくらい過ごしやすさが生まれます。

どれも生活に密接した内容ですから、遊びの中で少し意識して、取り入れてみてくださいね。

遊びながら基礎概念が身につく!
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