英語は何歳から学ばせる? 赤ちゃんに英語を聞かせてよいの?「英語を0歳から学ばせる」べき理由とは

こんにちは! しちだ・教育研究所です。

「英語は話せる方がよい。」
これに異論のある方は少ないはずです。
英語に苦手意識を持たせずに、楽しく学ばせて、自然とできるようにしてあげたいものですね。
そのためには、いつから、どうやって英語に触れさせるのがよいのでしょうか?

✓知人のところでは、英語を0歳から習わせているけれど、そんなに早くから取り組む必要があるの?
また、英語を習わせることを検討しているけれど、
✓ある程度大きくなってから
✓母国語である日本語がきちんと話せるようになってから
✓小学生から習わせようかな

そんなふうに考えている方も多いでしょう。

今回は、0歳から英語を学ぶ意義、早期の英語教育開始についてまとめました。

妊娠中の方、0~3歳のお子さまがいらっしゃる方は、ぜひご参考ください。

《目次》
1. 母国語を話さないうちから外国語を習わせるの⁉
2. 乳幼児が言語を習得するプロセスとは
3. 人工知能の発展が加速するのに、わざわざ英語を学ぶ必要があるの?
4. 英語教育の今、将来予測
5. 実際にどうやって英語を学ばせるの?

0歳児英語教育

1. 母国語を話さないうちから外国語を習わせるの⁉

0歳児の日常はどんな様子でしょうか?

✓1日の大半を寝て過ごしている
✓起きているときも、手足を動かしているけれど、まだまだつかまり立ちやひとり立ちはできない
✓次第に一人で座れるようになって、ずりばいやハイハイが始まっている
という状況でしょうか。

もちろん言葉はまだ明瞭に発せません。
意味のある言葉を発するようになるのは、言語能力が特に発達したお子さまでも、8~9か月ころになってからでしょう。

この時期は、少しずつ、声で遊びながら発声の練習をして、発声をコミュニケーションの手段にしていく準備段階にありますね。

まずは、
「あ~あ~」「く~く~」などの発声(クーイング)から、
「だだだだ」「ばばばば」「あぶあぶ」などと、
喃語に発展していきます。

そんな状況で、
「英語教育をしても効果がないのでは?」
「結局、何も身につかないので、無駄になってしまうのでは?」
「日本語と英語の両方を学ばせて、混乱してしまうのでは?」
と考えるのも無理はありません。

ところが、この何もしていないように見える0歳児の時こそ、成長するに連れて段々と失われていく、すばらしい能力を有した黄金期なのです。

20か国以上の言語を操ることができたアメリカの言語学者、チャールズ・ベルリッツ氏は、3歳の時には、英語、フランス語、ドイツ語、スペイン語を自由自在に話したということです。
ベルリッツ氏は、生まれた時から、それぞれの言語で話しかけられて育ったというのです。
*1

0歳から、母国語に限らず、他言語に触れていたことが、この結果を招いたと考えられるでしょう。
では、ベルリッツ氏は特別なのでしょうか?

そうではありません。

0歳から英語に触れさせることが、バイリンガルとして英語も日本語も自在に操れるようになることへの大きなターニングポイントなのです。

2. 乳幼児が成長するプロセスとは

ここで、乳幼児が成長するプロセスを押さえておく必要があります。

脳は、胎児のころから日々、すさまじい勢いで成長しています。
もちろん、赤ちゃんとして生まれた瞬間からも、ものすごい早さでさまざまな情報を吸収しながら成長を続けます。

才能・能力には、「才能逓減(ていげん)の法則」があるのをご存じでしょうか?
逓減とは、時間が経過するとともに少しずつ減っていくという意味です。
生まれた時に持っているすばらしい才能や能力が、年齢が高まるにれて、次第に失われていくということです。

才能逓減(ていげん)の法則

★ポイント★
・早く始めるほど、高い能力が育つ
・才能が伸びる可能性は、年齢が上がるにつれて減っていく

ただし、才能は一人勝手には伸びていきません。
その成長をより促すには、最適な刺激を与えることが肝心です。

その『刺激』とは何でしょうか?
それは、見たり、聴いたり、触れたり、といった五感への刺激です。
これらのことによって、いわゆる「インプット」のための回路が強固になります。

では、言語の獲得はどのように行われるのでしょうか?
大まかにいえば、
「言葉を聞く」→「覚える」→「話す」
というプロセスです。

実は、言語習得のプロセスは、生まれる前からすでに始まっています。
胎児の耳が十分に発達する妊娠7か月以降には、母親の話す言葉のイントネーションのパターンが、子宮を通じて赤ちゃんに伝わっているといわれています。

このとき、個々の音を聞き分けているわけではありませんが、リズムとイントネーションは、はっきり認識しているようです。
そして、生まれたときには、母親の話す言語を好むようになっているのです。さらには、イントネーションのパターンを通じて言語を特定さえできるといわれています。

そうです。胎児や赤ちゃんは、すばらしい言語習得能力を持っているのです。
それは、世界中のあらゆる言語を聞き分ける能力です。

これは、大人よりも子供のシナプス(情報伝達に関わる部位)が多いためです。余分に脳細胞の結合を利用できるので、ごくわずかな音のニュアンスまで学習することができるのです。

つまり、この時期(およそ1歳ごろ)までに、日本語以外の他言語に触れておくことが大切なのです。

0歳だからこそ、簡単に数か国語を身につけることができるのです。
そして、筋肉の発達が追いついて発語が始まれば、正確に発音することができます。

これらのことから、「言語を学ぶのは、早ければ早いほどよい」と考えられます。

0歳からの英語教育を始めることで、年齢が上がってから始めるよりも、子供にとって、楽に吸収できるという点もあるため、大いに検討すべきですね。

人工知能の発達

3. 人工知能の発展が加速するのに、わざわざ英語を学ぶ必要があるの?

さて、近年のテクノロジーの発達は目覚ましいものがあります。
2020年の日本国内の世帯でのスマートフォン所有率は86.8%です。(総務省『通信利用率動向調査』より)*2

また、AI(人工知能)の進化もますます加速しています。
スマートフォンなどの情報端末機器があれば、自動翻訳(通訳)を行えるアプリを活用した異言語間のコミュニケーションが可能です。

その国の言語をまったく知らなくても、ある程度の意思疎通には困らないかもしれません。アプリ以外にも、オフラインで使用できる小型の自動翻訳機器なども多数販売されています。

これらは一昔前には、「意味が通じなくて使えない!」というケースがありましたが、今や十分に有効な機能を有しています。
今後ますます便利に使えるようになるのは容易に想像できます。

さて、そのような状況下において、「わざわざ多くの時間と費用をかけて、子供たちに英語を教える意義はないのではないか」
と考える方もいらっしゃるかもしれません。

ここで、世界を取り巻く現状と未来予想図に想いを起こしてみましょう。

まず、皆さんが考えるとおり、医療技術の進歩による長寿化が予想されます。
2020年の厚労省の発表によると、日本で100歳超の方は8万人を超えているのです。「人生100年時代」という言葉が指す時代はもう来ているともいえるでしょう。
現在、赤ちゃんであるお子さまが成長したころには、もっと平均寿命が延びている可能性は大いにあります。

さらに、現実空間ではなく、バーチャル空間での経済活動も活発化するでしょう。

「メタバース」という言葉が注目されています。
メタバースとは、仮想空間を用いた経済活動のことです。

自宅にいながら、海外を訪問するといったことが可能となり、むしろ、現実に移動するよりも、そのほうが一般的になるかもしれません。

国や地域といった隔たりが、あらゆる面から薄れていくことでしょう。

もちろん、母国語として日本語を理解しておくことは重要です。
しかし、今後のボーダーレスの時代においては、日本語以外を母語としている他者とのやり取りが増えることが予想されます。

いかがでしょうか。

ここで、英語を身につける意義に立ち返ります。
このようなボーダーレスの時代、そして変化の波が予想を超えて押し寄せてて来るであろう長い人生を歩む上では、日本語だけに頼っていてよいのか不安が残りますよね。

自分自身で英語(さらには他言語)を操れることは、きっと、荒波を乗り切れる力となるでしょう。

もちろん自動翻訳の力があるのは確かです。
しかし、お互いの共通理解を前提とするような微妙なコミュニケーションでは、人工知能による自動翻訳では力不足です。

特に慎重に行いたい仕事上のやりとりなどに、人工知能を介在させていては、信用関係が成り立たないことが出てくるかもしれません。

日本語を介さずに、的確な判断力が求められる場面は必ず訪れます。きっと、英語を身につけておいて良かったと考える日が来るでしょう。

 

英語教育の予測

4. 英語教育の今、将来予測

世界112か国から220万人が参加している世界最大の英語能力の指標「EF EPI 英語能力指数」(2021年)*3によると、日本の順位は112か国中78位でした。

これは、国際教育事業のイー・エフ・エデュケーション・ファーストが発表したものです。

このように、世界的に見て日本人の英語の能力が「低い」ことが明らかになっています。

ちなみに1位はオランダです。
公用語はオランダ語ですが、非英語圏で最も英語力が高い国として知られ、15歳以上の94%がバイリンガル(E欧州委員会によるデータ)だそうです。

日本の英語能力に関しては、以前から「読み」「書き」はできても「話せない」ということが指摘されています。
皆さまの中にも、英語の、とりわけスピーキングに苦手意識を持つ方も少なくないかもしれません。

さて、そのような現状を打破しようと、国を挙げて、もっと「コミュニケーションとして使える英語」力の向上を目指したいという方針を打ち立てています。

近年、日本の教育現場においても英語教育の早期化とレベルアップが実施されています。
2020年から全面実施されている改訂学習指導要領(文科省)により、小学校においては、従来よりも2年早い3・4年生から、外国語活動として英語に触れるカリキュラムが導入されました。

そして、5・6年生では教科として外国語が導入され、2年間で600~700の語彙の獲得が目標となっています。小学校の時から、英語で点数がつくようになったのです。

さらに中学校では、授業をすべて英語で行うことが基本指針となっています。
語彙獲得数の目標値も旧指導要領よりも最大600語多い、1600~1800語となっています。

このように、日本の学校教育においても子供たちに求められる英語能力の基準は高まっています。そして、単語を覚えて書ければよい、ということでは済まないのです。
今や、いかに話せるかということが重視されているのです。

今後も、教育現場での英語力への関心は高まっていくことが十分に予想されます。

幼児の英語教育

5. 実際にどうやって英語を学ばせるの?

やっぱり英語は話せるようにしてあげたい…!
これからを生き抜く力を身につけさせたい…!

そう考えるなら、早期に学習を始めるに越したことはありません。
英語を理解して、話したり聴いたりできることを「英語耳」という言葉で表現することがあります。

これまで見てきたように、乳幼児期は、まさに「英語耳」「英語脳」を育てるのに最適な年代なのです。

方法はいたって簡単です。
0歳児から英語に触れさせる機会を作ることです。
繰り返し、繰り返し、聞かせるとよいでしょう。

もちろん、最初から一語一語理解しているわけではありません。
聞いているうちに、部分的に理解できてきます。さらに繰り返し聞いていくことで、いくつかの言葉のまとまりを聞き取れるようになっていきます。
最終的にはすべての部分が聞き取れるようになります。

この時の脳は、言葉のまとまりをリズムとしてひとまとまりにつかんだうえに、高度に情報処理をしています。そのため、今度は頭に入った文章を自在に作り変えて話せるようになるのです。

おうちの方が、ネイティブ(またはネイティブと同レベル)であれば、ご家庭では英語を話
すのがよいでしょう。
そうでない場合は、ネイティブの会話の音源を聞き流せるような環境を整えることをおすすめします。

英語の音をシャワーを浴びるように聞いていることで、英語を聞き分けることができるようになります。
この時期に聞いていた英語はしっかり耳に残っています。

ぜひ、この黄金年代の力をうまく活用して、子供たちが楽に英語を操れるようになる土台を作ってあげたいものですね。

 

参考文献/参考サイト
*1『英語で赤ちゃんがスクスク育つ』(七田眞著/日本経済新聞社)
*2総務省『通信利用率動向調査』
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r03/html/nd111100.html

*3EF EPI
https://www.efjapan.co.jp/epi/